独立…起業。
あの子たち、どうしてるんだろう?
ヒデちゃんの同僚たち。
よく一緒の飲みに行ったり、ヒデちゃん家で飲んだりして、楽しそうだったよね。
後輩の子の相談にのったりしてさ。
あの社長に、みんな嫌気がさしてる時、「ヒデさん、独立して下さいよ。付いて来ます!」って言われて、
嬉しそうだったよね。
でも、そのあと、本当に真剣に悩んでたね。
ヒデちゃんに、「あの人たち2人の人生、背負える? 自信ある?」って聞いた時に、
「仕事は取れる。キンちゃんがいるから大丈夫!」って。
そんな答えでは、無理だよ。
私がいろいろ調べた結果、5,000万ってお金が必要。
危険な作業をする仕事だから、事故や怪我をした時のことまで考えないといけない。
保健や補償や、最悪の想定をしておかないといけない。
人を雇用するのか、派遣なのか。
いろんなことを考えて、考えて、これでもかってくらい考えないとダメ。
自分一人なら、どうにでもなる。
人を雇用して、危険な作業をさせて事故になった場合のことを考えると、怖い。
だから私、あの時、背中押してあげなかった。
それに、ヒデちゃんって人は、親分肌で人は付いてくるけど、経営者向きではない。
ちなみに、数字には弱い…。
現場でのトップにはなれても、会社のトップは難しい。
だから、ナンバー2がいいよ。
って、最終的に、結論出したのは私だよね。
そこまで言いたくなかったけど、ヒデちゃん、周りに頼られて乗せられて、ちょっと気持ちが大きくなってた。
お付き合いしてようが、友達であろうが、同じことを言ったと思う。
何かを始める時、リスクは付き物だけど、この仕事は事故が付き物で危険が過ぎる。
ヒデちゃん、「キンちゃんがそう言うなら、止める。」って。。。
ホッとした反面、折角、男になろうとしてるヒデちゃんの気力を奪ったのかと、私が自己嫌悪。
この時、ヒデちゃんが起業してたら、消えることなかったのかも…
私が寿命縮めたのかも…
やっぱり、私と出会わなければ、ヒデちゃん、消えなくてすんだんだよね。。。
私、ヒデちゃんの邪魔ばかりしてたんじゃない?
ごめんね。
考えれば考えるほど、私が原因かもって思える。
ヒデちゃん、ごめん…ごめんね。