どこに行ったら逢えるのかな?

死別 彼との思い出日記
ジェットコースターのような時間を共有し、最期は。。。

あの人…あの人さえ……3

またまた、あの社長の話。


あの社長、今は失踪中?行方不明?雲隠れ?

どこにいるんだか…


ヒデちゃん、会社に入って半年位( 私との付き合いが始まった頃)から、お給料が遅れ始めた。

仕事は入ってくるし、人も増やしてるし、儲かってるはずって言ってた。

でも、よーく聞いてみると、請求書出して、入金されると、全部社長の財布に入るって。

それで飲みに行ったり、食べたり。

経費であったり、人件費は、自分の年金やNPOの本部から入るお金で賄っていたみたい。

それでも足りない時は、NPOの本部からの借り入れで支払うって。

でも、返済しないから、本部と疎遠。。


自転車操業?

経営者なのに…

売掛入金があって、買い掛けを支払って、経費を払って、人件費を払って、残りが利益って単純な図式。

私は、なんども何度も、「どんぶり勘定じゃない?大丈夫?経理の人、パートでもいいから入れなよ。」って言ってた。

金勘定がオカシイのは、他のスタッフさんからも聞いてたし、私が見ててもおかしいと思ってた。

お金のことは、人に任せると、自由にお金が使えないから…でも、1番は人を信用していないから。

仲間が欲しいとか言うなら、人を信用しないと。

スタッフさんたちの事も信用してないから、仕事を任せない。

自分が全て把握しないと気が済まないらしく、どこの現場にも顔を出し、スタッフに指示を出す。

現場は回ってるのに、社長の一声で、段取りが狂う。(ヒデちゃん談)


お給料が遅れ出すと、社内の雰囲気も狂い始め、社長のやり方に不平不満が多くなり、

辞めるって言い出す人が多くなった。

未納のお給料を取りに来るスタッフがいても、「今日は入金がないから無理、明日来い。」

翌日来ても、「今日も入金がないから無理、明日来い。」自転車操業の典型例。

さすがに、そのスタッフさん怒って、脅すようなことを言ったらしい。

社長も慌ててあちこち金策したらしいけど、返すもの返してないから、どこも貸してはくれず、

私のとこに連絡が来て行ってみると、辞めたはずのスタッフさんが、座り込んで…妙な空気。

社長「7万貸してくれ。明日返すから。」って。

私は、「貸す理由がないし、何で私なんだ?」って。

「明日返すから。7万貸してくれ。」その一点張り。

貸す理由なんて何一つないんだけど、スタッフさんがかわいそうと思って、社長に貸した。


この時を最後に、こちらから仕事を依頼することも、仕事の紹介もしなかった。

もちろん、飲みに誘われることもなくなった。

私は、お金の貸し借りがあった時点で、対等ではないと思ってる。

ましてや、自分の親の年齢に近い人にお金を貸すなんて、あり得ないと思ってた。

結局、2ヶ月返済されず、最後は私も脅すようなことを言った。

「うちの弁護士に相談したから、今後は弁護士と話して!」

その日に、NPOの系列から借りて、返済にきた。

でも、「すまん。」でもないし、「ごめん」でもないし、「悪かった」でもない。。

一言も謝らず、帰って行った。


人はいいのに、なぜ、謝らないのか…

金勘定ができないのか?

謝ったら損?

どこかが欠落してるから、この結果なんだろう。


私も人の事を言える程、大層な人ではないけど、人に物を借りたら「ありがとう」って言える。

自分がされて嫌なことはしない。

その点、ヒデちゃんは、いっぱいありがとうって言うひとだよね。

「きんちゃん、ありがとう」って、今までに何度言われただろう。。。

ありがとうの後は、ギュって抱きしめてくれたね。。。


そうそう、この頃、社長の周りが急激に変化していった。

スタッフさんが2人(ヒデちゃんともう1人)

自立支援の入所者さんが2人。合計4人。

多い時は、20人くらいいたのに…

みんなお金絡みで辞めってた。

生活する為に働いてるのに、お給料が入らない。

この先も安定しないならって、転職。当然だと思う。


この時、ヒデちゃんも迷ってた。

社長に認められての入社だし、前職の人達の手前、辞めるって言えなくて、すごく悩んでた。

私はお給料もくれない会社に見切りをつけ、違うとこで頑張った方がいいって何度も言った んだけど、

ヒデちゃんの人の良さ?なんだかんだ、社長がかわいそうに思ってたのもある。

「今まで中途半端だったから、ここはきっちり働きたい…仕事も好きだ」と。

気持ちは分かるけど…。

この頃、ヒデちゃんの顔はコケてたし、痩せていったし、お酒の量が増えて悪循環。

私、呆れながら「仕事が好きなら仕方ないね〜、私が余計なこと言ったね。ごめんね〜」って。

投げやりな言い方をして、ケンカになったこともあった。


ただ、自分の人生、目の前の事だけではなく、5年先10年先での単位で、自分がどこで何をしてたいのか?

考えてほしかった。


いろんな方法で、ヒデちゃんを説得しようと思ったけど、社長以下残ってる人たちを見捨てられないって。

「泥舟とわかったんだから、早く降りないと沈むよ」

何度もケンカして、別れ話も何度もしたけど、ヒデちゃんは変わらなかった。


ヒデちゃん、頑固者。


私が怒ってても、別れ話の後でも、何も変わらず普通に接する。

私がプンプンしてるのに、、、

なんだかんだ言っても、私がヒデちゃんのこと、すごく好きだったから許せたのかも。

ヒデちゃんには届いてたのかな?


ヒデちゃん痩せたのは、私のせいでもあるね。

ただでさえ、痩せてるのに、もっと痩せてて、「死んじゃうよ」って言ったことある。

そしたら「生きる〜」って言ってたのに。。。


去年の夏頃の話なのに、あれからいろいろあったね。。

本書けちゃうよ。


ヒデちゃんいなくなってから、社長、行方不明なんだよ。

家にも帰ってないし、連絡も付かないけど、見かけたって人がいるよ。。。

話しかけたら、逃げたって。。

そりゃ〜そうだよね。

ヒデちゃんの不幸なタイミングを作った張本人だもんね。



この先の話は、今度にしよう。。

変な夢見そう。。。

あの人…あの人さえ…2

ヒデちゃんとこの社長の続き。


社長は、気前がよく、面倒見がいい。

仕事の幅が広がって、倉庫や事務所を拡張し、スッタフの数も増えてった。

NPOの本部から、自立支援に入所してる人たちも、忙しい時は応援に来るようになってた。

送迎に昼食の用意、社長は、一人暮らしの人たちに、暖かいものを食べさせてあげたいって言ってた。

自立支援に入所してる人たちは、喜んで働いていたようだ。


スタッフさんには、社宅を用意して、光熱費も会社負担。


社長って、従業員を労わる優しい社長なんだなぁ〜って思ってた。


ただ、会社が大きくなって、スタッフの数が増えた頃、

会社の立ち上げの頃からいた、現場の責任者のスタッフさんが辞めた。(前に書いた、ヒデちゃんの友達の桜ちゃん。)

いろんな仕事が増え、人数が増え、負担が多くなって、社長と改善策を話し合ってて、

意見が対立し、桜ちゃんが辞めた。


後に、社長は反省していた。

自立支援に入所してるいろんな人が来て、都度、仕事を教え、通常のスタッフの管理もし、桜ちゃんに負担をかけたと。


桜ちゃんがいたから、会社はまとまっていたけど、桜ちゃんが辞めると、会社も仕事も回らなくなってたようだ。

社長が何でも出来るわけでもなく、しばらく仕事を減らしたり断ったりしてたみたい。


そこに、ヒデちゃん登場!

ヒデちゃんは、前職がNPOの自立支援のスタッフ兼調理担当兼修理修繕担当。

入所してきても、心を閉ざしてる人や、放浪癖のある人などいろんな人に目を配り、社会に戻してあげるのが仕事。

まずは、話を聞いてあげる…根気がないと続けられない仕事だと思う。

ヒデちゃんは、調理も担当して、朝4時から20人分の朝食を作って食べさせて、20人分のお昼のおむすびを作ってたと。


ヒデちゃんの前々職は、鳶職人。

鳶に戻ろうかと思案してる時に、社長と出会い、ヒデちゃんの修理修繕の器用さと親分肌に目を付けスカウト。

ヒデちゃん、自分を認めてもらえたようで嬉しかったって。。。

で、三者会談のすえ、円満退社で、社長のとこに行くことが決まった。


NPOの自立支援にいると、時間関係なく、早朝でも夜中でも、入所者さんの連絡が来る。

「道に迷った、」「お金がない」「警察に保護」などなど。。。

その都度、お迎えに行ってたらしい。


社長のとこに行けば、朝は8時からの勤務。

自由な時間が増えて嬉しかったって。


即、引っ越し、翌日から出勤。

入社してどれくらいなんだろう?何日目かな?飲み会で初対面!

ヤンチャしてきた?ヤンチャしそうなお兄ちゃん。

私とは住む世界が違うなぁ〜ってのが、第一印象。


でも、何となく、漠然と、この時、ヒデちゃんと関わるかも!って思ってた。

本当に不思議だけど、恋愛感情ではなく、何だろう…何かが引っかかる感じ。。


この飲み会は、社長のとこのスタッフさんばかりで、ヒデちゃん以外は顔見知り。

何故か、ヒデちゃんみんなと馴染んでた。

他のスタッフさんが、ヒデちゃんに敬語?

先に入社してたり、年上であったり、なのに、なぜか敬語に微妙な違和感。


後に、仕事の段取りであったり、速さであったり、器用さであったり、周りが認めてくれたらしく、

要領の良さもあって、みんなに慕われるようになったんだと。(他のスタッフさんの話)

他のスタッフさんは、桜ちゃんが辞めた後、仕事がスムーズにいかなくて、困ってたと。

ヒデちゃんが来てくれて良かったって…社長は指示が下手でわからないことが多いって嘆いていた。



桜ちゃんもヒデちゃんも、この会社では、必要な人だったんだよね。

プライベートでも仲良しだったね〜。。

結局、二人共、消えちゃったけど………そこまで、仲良しじゃなくてもいいのに!


でもさ、頭蓋骨陥没骨折、クモ膜下、ここまで一緒って。。。


ヒデちゃん重体の時、桜ちゃんお見舞いに来て、「ヒデー何やってんだー、起きろー!」って言ってたのに、

まさか、3ヶ月後、自分も同じ状況になるとはね…

何だか、変…おかしな話だよ。。。


ヒデちゃんは、退院したら、桜ちゃんのお墓参りに行きたいって…一緒に行く約束してたのに。。。


ヒデちゃん、直接桜ちゃんに会いに行っちゃったね。

ちゃんと会えたかな?

寂しい坊のヒデちゃんだから、桜ちゃんに会えて喜んでるかな?


って、私は一人ぼっちなんだけどね……

今日も、明日も、明後日も、ずーっと、一人ぼっちだよ。。。

あの人…あの人さえ…

あの人って、ヒデちゃんの会社の社長。


今日は社長のことを残しておこう!


ヒデちゃんと出会う前のこと。

私の仕事は、アパート・マンションの管理。

全室1Kのあるアパートの一室に、ヒデちゃんとこの社長が出入りしてた。


そのアパートの10室だけ、NPOの借り上げで、他は通常世帯。

そのNPOとは、生活保護や年金の人たちに住まいを提供し、病院や買い物など生活のお世話をしている。

管理側としては、NPOの借り上げ物件なので、入居者の素性を知らない。

掃除、草刈り、電球交換、修理などなど、何かあればアパートに行くので、半数くらいの人しかわかっていない。


この時も、入居者のご年配の方に、お茶をご馳走してもらい、外で談笑していた時に、

隣の部屋から、変なオッちゃんが工具を持って出てきた。

隣の入居者の人も、ご年配の方で、足が悪い人。

不審者?…工具???って、思って声をかけた。

「どちら様?何の御用だったんでしょうか?」って、、、

すると、「本部から、この部屋のトイレの水漏れ見るように言われて。」って。

これが社長。

社長の仕事は、NPOの同列会社で、入居者の人の生活環境を整える仕事。

企業からの贈答であったり、寄付であったり、生活必需品の家電や布団などを管理し、

入居者に品物を納品したり、逆に、いろんな事情があって退去する場合の引き下げや引っ越しなど。

要は、便利屋さんのようなもの。

後に、上記の内容の仕事をしてることが判明。


この時を境に、よく話をするようになり、他のスタッフさんとも話しをするようになった。

こちらから、仕事を発注したり、仕事を回したり、手伝ってあげることもしばしば。。。


スタッフさん連れて、毎日のようにご飯行って、飲みに行ってるのを聞いて、

人の良い社長さんで、気前がイイ!

よく私も誘われて行ったりしていた。

私は、取引先なので、ご馳走になってばかりもいられないので、

たまには飲み代を払い、たまには差し入れをして、貸借りなし!

スタッフさんとも仲良くなり、いつも楽しかった。

でも、私はスタッフではないので、仕事で行けない時や行かない時もあると、電話がすごい!

社長は、仲間意識がすごい人で、「行けない!」って言うと、「遅くなっても来い」っていう人。

周りが止めて、やっと諦めるみたいなとこがある。


社長の口癖は、「お前はいいなぁ〜、俺も仲間が欲しい。。。」

私は今まで、いっぱい失敗もあって、今の仕事のブレーンを作ってきた。

今のこのブレーンのお陰で、この管理という仕事が出来る。

知り合いは多いと思うけど、友達は多くはない。

ただ、信用できる友人・相談できる友人がいる。

仲間だったり、友人であったり、作ろうと思って作れるものではない。

気がつくと、心地のいい相手になってる。

社長にも、「仲間は作ろうと思っても出来ないよ〜信頼関係だよ。」「人を信用しなよ!」って言ってきた。

まずは、スタッフを信用して任せてみたら?って、何度も言ったんだけど…


社長の言う仲間とは、親分が子分連れて歩くような…そんな関係。。。

社長には、友達がいっぱいいるらしいが、仕事関係の人ばかり…

前職に友人なし、学生からの友人なし、飲みに行く友人なし、趣味に友人なし。

男性なら、こんな人は珍しくない。

そんな社長だから、スタッフを信じて任せると、スタッフが仲間になってるかも?