あの人…あの人さえ…2
ヒデちゃんとこの社長の続き。
社長は、気前がよく、面倒見がいい。
仕事の幅が広がって、倉庫や事務所を拡張し、スッタフの数も増えてった。
NPOの本部から、自立支援に入所してる人たちも、忙しい時は応援に来るようになってた。
送迎に昼食の用意、社長は、一人暮らしの人たちに、暖かいものを食べさせてあげたいって言ってた。
自立支援に入所してる人たちは、喜んで働いていたようだ。
スタッフさんには、社宅を用意して、光熱費も会社負担。
社長って、従業員を労わる優しい社長なんだなぁ〜って思ってた。
ただ、会社が大きくなって、スタッフの数が増えた頃、
会社の立ち上げの頃からいた、現場の責任者のスタッフさんが辞めた。(前に書いた、ヒデちゃんの友達の桜ちゃん。)
いろんな仕事が増え、人数が増え、負担が多くなって、社長と改善策を話し合ってて、
意見が対立し、桜ちゃんが辞めた。
後に、社長は反省していた。
自立支援に入所してるいろんな人が来て、都度、仕事を教え、通常のスタッフの管理もし、桜ちゃんに負担をかけたと。
桜ちゃんがいたから、会社はまとまっていたけど、桜ちゃんが辞めると、会社も仕事も回らなくなってたようだ。
社長が何でも出来るわけでもなく、しばらく仕事を減らしたり断ったりしてたみたい。
そこに、ヒデちゃん登場!
ヒデちゃんは、前職がNPOの自立支援のスタッフ兼調理担当兼修理修繕担当。
入所してきても、心を閉ざしてる人や、放浪癖のある人などいろんな人に目を配り、社会に戻してあげるのが仕事。
まずは、話を聞いてあげる…根気がないと続けられない仕事だと思う。
ヒデちゃんは、調理も担当して、朝4時から20人分の朝食を作って食べさせて、20人分のお昼のおむすびを作ってたと。
ヒデちゃんの前々職は、鳶職人。
鳶に戻ろうかと思案してる時に、社長と出会い、ヒデちゃんの修理修繕の器用さと親分肌に目を付けスカウト。
ヒデちゃん、自分を認めてもらえたようで嬉しかったって。。。
で、三者会談のすえ、円満退社で、社長のとこに行くことが決まった。
NPOの自立支援にいると、時間関係なく、早朝でも夜中でも、入所者さんの連絡が来る。
「道に迷った、」「お金がない」「警察に保護」などなど。。。
その都度、お迎えに行ってたらしい。
社長のとこに行けば、朝は8時からの勤務。
自由な時間が増えて嬉しかったって。
即、引っ越し、翌日から出勤。
入社してどれくらいなんだろう?何日目かな?飲み会で初対面!
ヤンチャしてきた?ヤンチャしそうなお兄ちゃん。
私とは住む世界が違うなぁ〜ってのが、第一印象。
でも、何となく、漠然と、この時、ヒデちゃんと関わるかも!って思ってた。
本当に不思議だけど、恋愛感情ではなく、何だろう…何かが引っかかる感じ。。
この飲み会は、社長のとこのスタッフさんばかりで、ヒデちゃん以外は顔見知り。
何故か、ヒデちゃんみんなと馴染んでた。
他のスタッフさんが、ヒデちゃんに敬語?
先に入社してたり、年上であったり、なのに、なぜか敬語に微妙な違和感。
後に、仕事の段取りであったり、速さであったり、器用さであったり、周りが認めてくれたらしく、
要領の良さもあって、みんなに慕われるようになったんだと。(他のスタッフさんの話)
他のスタッフさんは、桜ちゃんが辞めた後、仕事がスムーズにいかなくて、困ってたと。
ヒデちゃんが来てくれて良かったって…社長は指示が下手でわからないことが多いって嘆いていた。
桜ちゃんもヒデちゃんも、この会社では、必要な人だったんだよね。
プライベートでも仲良しだったね〜。。
結局、二人共、消えちゃったけど………そこまで、仲良しじゃなくてもいいのに!
でもさ、頭蓋骨陥没骨折、クモ膜下、ここまで一緒って。。。
ヒデちゃん重体の時、桜ちゃんお見舞いに来て、「ヒデー何やってんだー、起きろー!」って言ってたのに、
まさか、3ヶ月後、自分も同じ状況になるとはね…
何だか、変…おかしな話だよ。。。
ヒデちゃんは、退院したら、桜ちゃんのお墓参りに行きたいって…一緒に行く約束してたのに。。。
ヒデちゃん、直接桜ちゃんに会いに行っちゃったね。
ちゃんと会えたかな?
寂しい坊のヒデちゃんだから、桜ちゃんに会えて喜んでるかな?
って、私は一人ぼっちなんだけどね……
今日も、明日も、明後日も、ずーっと、一人ぼっちだよ。。。