あの社長、未だに、行方不明。

探してる人もいないみたいだよ。

見つかったとこで、ヒデちゃんが帰って来るわけでもないし、何も変わることがない。

ヒデちゃんの退院が1ヶ月後に決まった時、衝撃的な事を看護師さんから聞かされたんだったよね。

「実は、病院側は退院の許可は出してるけど、身元引受人さんから、受入れる準備が出来てないので、延ばしてくれと。」

ヒデちゃん、寝耳に水の話で、驚いてたよね。

今すぐにでも退院出来るのに、何で？って…

受け入れる準備？って何って…

ヒデちゃん、社長に何度も何度も電話したのに、出てくれないし、折電もなくて…

ヒデちゃんもどうしていいのかわかんなくなってたよね。

あたしもどうしたらいいのか…わかんなかった。

病院側も社長と連絡が取れなくて困ってたし、

そんな時、前の会社の人に連絡して、身元引受人になってもらったんだよね。

ヒデちゃんが1番信用してる人だったから、嬉しかったよね。

あの社長の事も、いろいろ聞いてくれて。

あちこち借金して、雲隠れ中。

会社も営業してないし、従業員もいない。

ヒデちゃんの部屋を片付けて、違う人が住んでるって話を聞いたのもこの時。

ヒデちゃん、驚いたよね！

自分の部屋の明け渡しは想定してたけど、まさか、退院が決まってるのに明渡しされてるなんて。

「俺の荷物はどこ？」って、当たり前の疑問

でも、家電やオーディオは売られてるって言ってたね。

ヒデちゃん、こだわり男だから、本当に好きなもの揃えてたもんね。

じゃ、他の荷物は？衣類は？細々した物は、どこ？って…

その荷物の行方を探すために、退院の1週間前の週末に外泊したんだよね。

外泊した日、すぐ、あの社長のとこや会社や倉庫に探しに行ったんだよね。

「俺の荷物どこにもないわー、全部捨てられたわー」って電話来た時には、まさか！って思ったよ。

だって、何の権利があって処分するの？

退院が決まってるのを知ってる社長が何で？

あまりにもヒドイ話で愕然とした。

家電や身の回りの物は、買い換えることが出来るけど、ヒデちゃんの宝物だったり、大切な物は、買い換えられない。

ヒデちゃん、ショックだったよね。

まさか、本当に何もないとは…

ヒデちゃんの部屋がそのままだったら…

せめて、宝物は、どこかに保管してくれてたら…

あの社長さえ、雲隠れしなきゃ…

あの社長さえ、電話に出てくれてたら…

ヒデちゃんの帰る場所って、自分の身の周りの物があるとこ。。

それを探すための外泊で、外泊翌日の朝、室内での事故で消えた。(脳挫傷、硬膜化血腫)

私は、あの社長さえ逃げなきゃ、こんなことにはなってないと思う。

逃げる理由を知らないけど、多分、お金なんだろうね。

すごく、憎いよ！

あの社長が、私の前に出てくることはないだろうけど、もし、会ったら、許さないだろうね。

すごく、悪態つくと思うし、罵るだろうなぁ。

今、思い出しても、ムカつく！！！

でも、ヒデちゃんなら、きっと…、…、…、…

毎日、苦しいよぉ。

ここ半月くらい、毎日、呼吸が苦しくなることがあるよ。

いろんな想いを閉じ込めようとすると、気管が狭くなるような…息が吸いにくい…

ん？あたし、病気？

でも、ヒデちゃんのこと考えたり思ったりしてる時だから、病気じゃないね。

朝が1番ツラいんだよね。

今も、朝、眼が覚めると、ヒデちゃんのいない現実を思い知らされる。

わかってるんだけど、長い夢であってほしいと…

最近、急に寒いからかな？

この冬、クリスマスに年末年始と、私の精神が持つのかな？

その前に、ヒデちゃんの最初の事故の日が近い…

あの日を境に、いろんな事がおきたし、いろんな人を見てきたね。

私と出逢わなければ、ヒデちゃんの不幸は始まってなかったのかもね。

私がヒデちゃんの歯車を狂わせたのかも…

ねー、どうしよう…どうやって生きていけばいいんだろう

今は、ただ生きてるだけ…

後悔…日々、後悔

病気で苦しんでる人たちには申し訳ないけど、

苦しんでる人の周りの人も、病気の人と同じように苦しいし、何もできない自分を責めてる人も多いと思う。

残される人は、また違った意味で、心が苦しい。

ヒデちゃんに代わって、私が消えれば良かったと思ったことも、何度もなんどもあるよ。

でも、このツラさをヒデちゃんに…って思えない。

かわいそすぎるよね。

きっと、ヒデちゃん、お酒に走って自暴自棄になっちゃうよね。

(って、そこまで想ってくれてたかな？また、私の勘違いかな…)

私は、ヒデちゃんが愛おしくて愛おしくて…逢いたくて、逢いたくて…

神様、ヒデちゃんを返して下さい。会わせて下さい、お願いします。

入院生活してる時のこと思い出した。

ヒデちゃん、頭が痛い痛いって言ってた時のこと。

どうしてあげることも出来ずに、「看護師さんに薬貰う？」って聞いたら、

「薬、くれないんだよ〜」って…

そう、6時間以上経たないとダメなんだよね。

看護師さん、優しいんだけど、「我慢してね。」って。

ヒデちゃん、苦しそうだったけど…良い子だから、我慢するんだよね。

本当によくがんばったよ！

激痛に耐えたのは、何日だろうね。。。

2ヶ月は、すごく苦しかったよね。

かわいそうで、かわいそうで見てるのも辛かったよ。

もっと、痛い痛いを連発したら、看護師さん、違う薬くれたのかもね。

でも、ヒデちゃん、消えちゃうまで、痛み止め飲まない日はなかったよね。

回数が減って、1日1回ってことが多くはなったけど、それでも、薬が必要だったよね。

今は、痛みから解放されてるのかな？

ヒデちゃんは、本当によく頑張ったよ。

あたし、何してたんだろう？？？

ヒデちゃんが苦しんでるのを見てただけ？

何しに病院行ってたんだろう？

私って、何だろう？

必要だった？

ん？ヒデちゃんの人生に、私、いらなかったんじゃない？

年上ぶって、あれこれ世話して、結局、邪魔してたんじゃない？

ヒデちゃん、本当に優しくて、私が喜ぶことしてくれたり、喜ぶ言葉くれたり、

優しくされればされるほど、私、疑ってたよね。。。

私の独りよがり？勘違いだった気がする。

あたし、生きる価値があるのかな？？？